映画『ブリグズビー・ベア』の感想をまとめました。家族の愛、仲間の愛、フィクションの愛。
画像はYouTube『『ブリグズビー・ベア』 6月23日(土)公開! - YouTube』よりキャプチャ。
「はてなブロガーのお題」で、お題「邦画でも洋画でもアニメでも、泣けた!というレベルではなく、号泣した映画を教えてください。」を見て、この映画のことを思い出した。あらすじを読んだだけで涙が込み上げてきたので、せっかくなので再視聴して、感想をリライトした。
ネタバレありです。
映画『ブリグズビー・ベア』
製作:2017年、上映時間:97分。本日時点(2022-12-16)でU-NEXTで定額見放題、その他配信サービスなどの情報はFilmarksのページを参照のこと。
あらすじ
主人公・ジェームズは、シェルターで父・テッド、母・エイプリルと暮らしていた。外の世界との繋がりは、毎週届く『ブリグズビー・ベア』というビデオ番組とチャットだけであった。ある夜、突入してきた警察によりジェームズは保護され、両親は逮捕されてしまう。自分が幼いころに誘拐された身であることを知ったジェームズは、本当の両親と妹と再会して新しい生活を送ろうとするが、『ブリグズビー・ベア』のことを忘れることができず、最後のエピソードを自分で製作しようと奮起する。という展開。
感想
25年間隔離状態にあって現実生活になかなか馴染めないジェームズが、当初は呪縛のように見えた『ブリグズビー・ベア』を通して徐々に馴染んでいき、且つ同じようにしてジェームズを取り囲む面々が彼のことを理解していく展開が、温かい気持ちになるとても良い映画だった。特にスペンサーやヴォーゲル警部は早い段階で理解を示してジェームズに寄り添っていて、彼等自身にも良い影響が及ぼされているし、そもそもこの映画に最後まで悪役でいる登場人物はいないのも最高によい(頭が悪い文章)。
映画や映像作品への愛情、創作物そのものや創作することへのリスペクトも散りばめられていて、そこもポイントだと思う。
冒頭のシェルター内での生活は、赤ん坊のときに誘拐してきてずっと自分たちにそれを強いていると思うとかなり異様に映る。誘拐の目的はエイプリルの衝動的なもののようだけど、彼等夫婦は子どもに恵まれなかったということかな。テッドは「トラのおもちゃで一儲けした」みたいなことに触れられていたけど、どういう背景の人物なんだろう。トラのおもちゃ、ブリグズビー・ベアの頭部設計に活かされているってことだろうなぁ。(あの造形の元ネタはやっぱりテレタビーズみたい。)
フィクションの関係であったとしても、ジェームズが保護されたときに掛けた言葉や、刑務所での告白からも、テッドとエイプリルが愛情たっぷりにジェームズを育てたということはわかる。
テッドがなぜ『ブリグズビー・ベア』を制作してまで見せていたのかというところは語られていない気がする。教育や体力作りも兼ねた内容に仕上げていたので、スタートはそこからだろうか(ジェームズがこんなに執着するとは思っていなかっただろうけど)。もしくは、テレビを見せてしまうと不意にジェームズ自身が誘拐された事件を知ってしまう、という危惧もあったかもしれない(本当の家に戻ってからも似たようなことがあった)。
劇中の『ブリグズビー・ベア』の中で敵として現れる「サン・スナッチャー」、字幕では「太陽泥棒(Sun Snatcher)」と訳が当てられているけど、ねとらぼの記事で「息子泥棒(Son Snatcher)」とも掛かっていることが指摘されており、変な声が出た。テッド自身がブリグズビー・ベアの敵としてこの名前を付けた気持ちを、どうしても考えてしまう。
製作した映画の完成披露前に観客の反応を気にするジェームズに、スペンサーが「誰がどう思おうと関係ない。君は映画を完成させた」と声をかけていて、「おま……マジで良いヤツ」と思った。
再視聴してみても途中途中で込み上げることもあった。そして、最後にジェームズにだけ見えているブリグズビー・ベアが空間移動してどこかへ行ってしまうという演出が最高で、その意味とかを想像するとここが最高に泣けるんだわ(ここも頭が悪い文章)。
余談
- 偽父のテッド役にマーク・ハミル*1。吹き替えではしっかりと島田敏さん*2が配役されていて、流石である。
- メレディスを演じているのは、ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』でマディを演じたアレクサ・デミー。かわいい。こちらでも小悪魔的なムーブをするが、純粋に明るく楽しい女の子である。よかった。
この映画、『星野源のオールナイトニッポン』でオススメされていたのをメモした、と記憶していたんだけど、調べたら公式ツイッターが反応していた。2018年11月。
先日ラジオで星野源さんにも褒めていただいた『ブリグズビー・ベア』、見てくださったみなさんのおかげで、ミニシアターとしてはじゅうぶんにヒットです、本当にありがとうございます! pic.twitter.com/IFD4OBRT4H
— 映画『ブリグズビー・ベア』公式 (@BrigsbybearJp) 2018年11月14日
予告編
関連リンク
- ブリグズビー・ベア | ソニー・ピクチャーズ公式
- Brigsby Bear (2017) - IMDb
- ブリグズビー・ベア - Wikipedia
- 『ブリグズビー・ベア』が大傑作である5つの理由!『スター・ウォーズ』のあの人が誘拐犯にキャスティングされた理由とは? | CINEMAS+
- 映画「ブリグズビー・ベア」とマーク・ハミルが教えてくれるフィクションとの付き合い方 - ねとらぼ
※この記事の内容は、Flimarksに以前投稿した感想を元に加筆しています。同じ内容をFilmarksにも反映していますが、以降、基本的にFilmarksの方が最新の感想になります。
*1:映画『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー。
*2:ルーク・スカイウォーカーの日本語吹き替え声優。