映画『ザ・バニシング -消失-』を観たよ。静かに、淡々と、不安が募っていく。
画像は「映画『ザ・バニシング -消失-』《予告編》 - YouTube」のキャプチャ。
ネタバレありです。
映画『ザ・バニシング -消失-』
1988年製作、オランダ・フランスの合作。原題は『SPOORLOOS』、調べるとオランダ語で「跡形なし」という意味が出てくる。英題は『The Vanishing』。
あらすじ
サービスエリアで失踪した恋人・サスキアを、3年間追い続けたレックス。なんの手がかりもなかったが、あるとき犯人とおぼしき人物から手紙が届く。
感想
構成としては「失踪」、「山荘と準備、遂行」、「3年後」、「邂逅」という感じ。
レックスはサスキアを捜索するうちに真実を知ることへの欲求に狂ってしまったということか。リネカが撮っていた写真のおかげもあるのか、カフェテラスにレイモンがいたことを憶えていたり、レックス自身もどこか異常な部分がある気がする。
彼の真実を追い求める執念に視聴者側も感化され、サスキアがどうやって誘拐され、そしてどうなったのか、という好奇心に囚われていく気がする。
レイモンは家族を持ち、一見おかしなところのない男性であるが、反社会性パーソナリティ障害を持ち、興味を持ったことに対して歯止めが利かず、シミュレーションを淡々と重ねて実行に移す。ただ、女性を車に乗せる、ということが上手く行かず、少しレイモンがかわいく思えてくる。
家族写真や家族からもらったものを犯行時に隠してもいないことにゾッとするけど、そのことがサスキアを油断させることにつながり、本当、ちょっとしたことで違う結果になっただろうに、と思う。
レイモンは自身が閉所恐怖症でありながら、サスキアとレックスの最期を究極の閉所と言える棺桶で生き埋めにするのも怖い。もしかすると彼にとっての「最もひどい悪事」とは、閉所に閉じ込めて放置することなんだろうか。
冒頭「金の卵に閉じ込められて」という会話や、8本目の木の下にコインを2枚埋めたこと、ナナフシやカマキリなど、暗示が多用されていて、それを探して自分なりに関連させる考察が楽しい。
以下はとっても余談。
- レイモンはシトロエンを乗り換えている。同じ車の色違い。
- リネカの法則。忘れるのに必要な時間は、一緒にいた時間の半分。
- 棺桶で生き埋め、で映画「[リミット]」(2010年)を思い出した。あちらは最初からずっと棺桶の中で展開するソリッドシチュエーション。主演はライアン・レイノルズ。
- 正確には「バニシング」ではなくて「ヴァニシング」だと思うんだけど、説明が難しいのだが、文字の見た目の雰囲気が違っていて、確かに「バニシング」の方がこの映画にはいいような気がしている。
予告編
関連リンク
- 映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイト
- Spoorloos (1988) - IMDb
- 【ザ・バニシング−消失−(ネタバレ)】犯行動機を考察!なぜコーヒーを飲んだ?閉じ込められたレックスの叫びの意味を読み解く | シネマノーツで映画の解釈をネタバレチェック
- 映画『ザ・バニシング消失』ネタバレ感想。リメイク版までありながら日本未公開であったサスペンス秀作
※この記事の内容から体裁を整えてFlimarksに投稿しています。以降、基本的にFilmarksの方が最新の感想になります。