はせる

は・せる、馳せる

我々は虚像だ。夢であり、写真である。

 映画『ホーリー・マウンテン』を観たよ。ある人のツイートで紹介されていた美しい場面写真から興味を持ったけど、正体は奇妙奇天烈な映画。

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 画像は「(HD Trailer) The Holy Mountain | Alejandro Jodorowsky - YouTube」のキャプチャ。

 思い切りネタバレします。さらに、エロ・グロ・ナンセンスなところがある映画なので、場合によってはこの感想すら読まなくていいです。


映画『ホーリー・マウンテン』

www.imdb.com

 1973年公開、日本では1988年公開。2021年2月7日視聴、TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。

あらすじ

 お経の様なものが聞こえる中、黒衣の人物(後に錬金術師であり、ホドロフスキーが演じていることがわかる)が、女性二人の衣服を剥ぎ、その頭を丸め、儀式を執り行っているところから始まる。
 場面は変わり、一人の男(タロットでは愚者)を写す。男は手足のない小人症の男と友達になり、見世物をして金を稼いでいた。あるとき男は、高い塔から黄金が入った袋を引っかけたフックが降りてきて、食べ物と物々交換されているのを目撃する。黄金の出所を突き止めようと、男はフックに飛び乗って塔を登っていく……

感想

 噂はかねがねだけど、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画は初めて。見終えて最初に思ったことは、「なんと言ったらいいかわからんが、すごかった」だった。

 映像として構図や美術はすごく美しいんだけど、エロ・グロ・ナンセンスが盛り込まれていて、さらに犬やカエルの虐待、人種・民族の差別的なシーン、人糞を黄金に変えるクソみたいな映像など(おっと)、本当に悪趣味な映像が続いて、前半は「見なきゃよかったとは言いたくないな」と思いながらやり過ごしていた。
 後半になると様相が変わり、錬金術師と仲間たち9人で、ロータス島の9人の賢者を襲い、彼らの不死の秘密を奪うために修行しながらの旅になる。賢者たちのもとに辿り着いて彼らを襲うも、それは8体のマネキンと直前に離脱した錬金術師だったという種明かしをする。ここで錬金術師(つまりホドロフスキー本人)が

不死は得られなくても/現実を得ることができた
おとぎ話を信じて/生き返ったんだ
しかし この生活は/現実だろうか
違う これは映画だ
カメラ 引いてくれ(Zoom back, Camera!)

と叫ぶと同時にカメラはズームバックしていき、撮影クルーがフレームに入る。第四の壁を取り払うこの瞬間は、ぞわぞわっと鳥肌が立った。そしてこう続く。

さらば 聖なる山
現実の生活があるんだ

 この台詞を言い放つと、ホドロフスキーと仲間たち9人はカメラと反対の方向へ歩いて行き、エンドロールが始まる。

 映画が終わるとともに私たちも実生活に戻ることになるけど、現実は(少なくとも直接目で見て観測できる範囲では)、この映画ほど酷くはないんだな。と感じて、前半の悪い気分もほとんど吹き飛んだ。

 感想を書こうとしても、この映画にストーリー的なものを見出すことはできなくて、観たことをなぞるだけになってしまう。面白いか面白くないかで言ったら、構図や美術を見る以外には私にとって面白くない映画だった。でも、この最後のパートによって、なんていうか、映画の内容のことを考えるというよりは、この現実の生活に直接その一撃を喰らったように感じた。

Trailer

※Trailerの時点で結構衝撃的なシーンを使っているので、視聴注意! と言っておきます。

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※Filmarksに投稿した感想を転載して整形したものです。基本的にはFilmarksの方が最新の内容です。

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