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「しょうがない」って言わないで

 映画『アルプススタンドのはしの方』を観たよ。「はしの方」の高校生の、眩しい瞬間。

 画像は「映画『アルプススタンドのはしの方』公式サイト」のスクリーンショット

映画『アルプススタンドのはしの方』

alpsnohashi.com

 2020年公開。2021年2月14日視聴。TSUTAYA DISCASにてレンタル。

あらすじ

夏の甲子園大会の1回戦、吹奏楽部や応援団が賑わう中、アルプススタンドのはしの方の応援席。演劇部員の安田あすはと田宮ひかるが観戦しているが、2人とも野球のルールがよく分からず、犠牲フライを知らないため、どうして相手に点が入ったのか分からないと話していると、元野球部員の藤野富士雄がやって来て近くに座った。藤野に野球の解説をしてもらいながら、3人で試合を見守っている。少し離れた所には、成績優秀だが人付き合いが苦手な宮下恵がいる。彼女は、成績学年一位の座を、吹奏楽部部長の久住智香に明け渡してしまっていた。

アルプススタンドのはしの方 - Wikipedia

感想

 「しょうがない。」という言葉がキーワードになっていて、中盤で宮下が呟く「『しょうがない』って言わないで」という方向へ映画は向かっていく。私自身、高校時代は「はしの方」で消化不良のまま過ごしたこともあって、この映画は「ああ、でも、ねぇ……」と感じてしまう部分があった。まあでも、それは結局「自分」に「重ねることができた」からであって、きっとこの映画における藤野であったり、安田、田宮、宮下、矢野、園田、久住、厚木先生、それぞれが過去の自分に重なったり、そうありたかった未来を重ねて(実際、戯曲を書いた顧問の先生はそういうふうに書いたらしい)、結末の大団円へ向かわせるのは、映画的にも道徳的にも、圧倒的に正しい。つまり、理想論や綺麗事だからこそ、この映画は良いものなのだと思った。送りバントや失策の青春もある。しかしそのすべてが眩しい。こんな美しい青春を見せられたら、ある一部分を取り上げて嫉妬することがあってもおかしくはない。
 この映画は、息子が思春期に差し掛かったら一緒に観たいと思った。

 メインキャスト4人は映画の最初と最後では(気持ちも座り位置も)距離が縮まっていき、映画で追加されたという後日談含めとても好きだし、厚木先生も暑苦しいが悪い先生ではない(「don't let it bring you down」)。久住の取り巻き2人も根は良いヤツっぽく演出されていてよい。特にショートカットの方(進藤サチ)を演じた平井珠生は「おっ」となった。

 元々は、部員4名の演劇部に顧問が書き下ろした戯曲らしい。そもそもの完成度が高いんだろうなあ。

予告編

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