見えていない部分を想像しよう。
写真を趣味にしているけれど、「展示を見る」という行為には、なぜかずっと苦手意識を持っていた。それは写真であれ、絵画であれ、同じである。これまで、誰かの創作物に心を動かされたり、影響を受けたりすることは、これまでたくさんあった。だから、たくさんの中から「お気に入り」の作品を見つけることはできている。ただ、それが「展示」という形態をとると、見る側も試されているような感覚があった。「この作品について、あなたはなにか言えるのか?」という、自分の内側から静かにささやく声が聞こえていたからかもしれない。結局、それは自意識の問題なのだろうと気づいていた。ここ数年の行動指針*1に「美術鑑賞」を書くくらいには、ずっと向き合いたいと思っていたテーマでもある。
国立西洋美術館の企画展『西洋絵画、どこから見るか?*2』は、「作品をどのように見ると楽しめるかから、鑑賞のヒントをご提案」するというコンセプトで、絵画への知識が乏しい私でも大丈夫なのでは? という印象があった。あと、音声ガイド*3にはTBSの日比アナも参加*4していたことも、私にとって入口に選ぶにはこれ以上のものはないだろう、と思わせてくれるポイントだった。
展示会場はいくつかのチャプターに分けられていて、その概要やキャプションを読むと、自然と絵画の描かれた時代背景や作者などに想像を巡らすことが多かった。絵画の鑑賞には、育ってきた環境の中で自然と身についた知識や感覚(文化資本)か、もしくは努力によって身につけた知識が、少しずつ効いてくるものなのかもしれない。実際、以前読んだ『論理的美術鑑賞*5』という本では、そういった知識をチェックシートなどを埋めていくことで取り入れて、多面的な鑑賞を勧めるものだった。
また、この週は『CREATIVE MUSEUM TOKYO*6』で開催されている『ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ*7』にも行ってきた。ヨシタケシンスケさんは絵本作家として広く知られているけれども、立体物の制作をしていたこともある。会場内にはそういった過去に制作した作品や、普段のらくがき、絵本の制作メモ、絵本『あつかったらぬげばいい』にある『おとなでいるのにつかれたら あしのうらをじめんからはなせばいい』になぞらえた少し高めのベンチなどの大型の体験展示もあった。
ヨシタケさんのイラストや言葉には「ポップさ」や「おかしみ」があり、それでいて読む人に想像を促す。表情の奥、行間にあるもの。「見えていない部分」を、「子どもが楽しめる部分」から「大人に染み入る部分」まで多層的に想像させる力があると思った。
絵画作品もヨシタケさんの作品も、もちろん写真も関係なく、基本的な鑑賞の楽しみ方としては「見てなにかを感じること、そしてそこから想像を巡らすこと」に違いはないはずだ。展示会場は「正解を当てる場所」ではないし、ましてや「正解の想像」もない。ただ、「一面」だけで捉えずに、目の前にあるものが「多面的」「多層的」であることを想像してみること。それが、どんな展示でも必要な姿勢なのだと思う。そして、「多面的」「多層的」に想像するために、その対象について知ろうとすることも当然のことだろう。私はようやく「見ること」の入口に立てたのかもしれない。
2025W21
2025W21 (2025-05-19 / 2025-05-25)
今週のうたかた
19日 月曜日(2025-139)
20日 火曜日(2025-140)
21日 水曜日(2025-141)
22日 木曜日(2025-142) 有給休暇
企画展『西洋絵画、どこから見るか?』@国立西洋美術館
だいたいのことはこの日の日記に残しました。
息子のサッカー教室の観覧
23日 金曜日(2025-143)
24日 土曜日(2025-144)
妻と息子を見送り、歯医者へ。終わって、合流まではおひとり様時間。
ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ@CREATIVE MUSEUM TOKYO
以前は世田谷文学館で開催した展示*8が、全国をまわって「たっぷり増量タイプ」になって帰ってきた。会場の規模は大きくなり、展示の内容も増えたけど、図録は以前と同じだった。チケットが17時からの回しか取れず、子ども連れもいたけれども大人だけのグループが多い状態になっていた。
『おしごとそうだんセンター』(2024年初版)のキャラクターは追加されている。
25日 日曜日(2025-145)
お金の不安を軽減すべく、身体が動くうちに日雇いバイトで収入を増やす。この日は食品物流センターでの作業。
スーパーに陳列されている商品が、どのように保管、仕分け、出荷されているか、社会科見学のような趣もある。仕事内容としては、各店毎仕分け済みの台車を所定の場所に移動したり、使用済みの折り畳みコンテナの分別、あとスーパーにある「食品トレイ回収ボックス」から出たゴミの仕分けも作業内容にあった。スーパーの商品に使用された食品トレイを対象にした回収ボックスなので、納豆パックやその他のプラごみを捨てるゴミ箱ではないことを考える。ゴミ袋によっていわゆる「民度」の違いがあって、悪態もつく一方で面白さもあったりする。
作業時間は9時から18時、途中1時間休憩があり、お手洗いはサボりと思われない程度に自由。終了時は24,000歩ぐらい歩いていた。毎週は入れるとは限らないけど、10年ぐらい前にやっていた荷揚げのバイトよりは継続できる感じがある。ただ、「社会科見学」という面を考えると、可能な範囲で他のバイトもやってみたいな、とも思う。学生時代にバイト経験がないもので。
今週の覚え書き
今週のはてな
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