はせる

は・せる、馳せる

思想とは (2024W28)

 なんとなく深い思考に入り込む。

2024W28 (2024-07-08 / 2024-07-14)

 感想などのまとめを怠っていた『思想とはなにか』を、付箋を貼ったところを主に読み返しているお昼休み。そういえばなんで手に取ったんだっけということも思い出したりしている。
 元々ほぼ日切っ掛けで吉本隆明さんのことは知っていて、なにか著作を1冊読んでみたいなと思っていたところで、図書館で確かヨシタケシンスケさんのエッセイが在架していれば再読しようと思って「よ」の棚に行ったときに、たまたまこの本を見かけたんだった*1ブクログへの登録日を見ると2023年3月なので、たぶん安倍晋三銃撃事件に端を発して自分の「信仰」や「宗教」との関わりのことを考えるようになって、そこにタイトルと目次に並ぶ言葉(詩歌、文学、宗教、ナショナリズム)がヒットしたんだろう。
 「思想」という言葉については、冒頭の『思想とはなにか』の章で吉本さんが以下のように説明されていた。

吉本 ――曖昧だけど複雑な領域が「情念、感覚」と「理念、イデオロギー」のあいだにあって、それを考えたいというときに特に「思想」という言葉を使っているようにおもいます。それでおおよそのところは尽くせるところがあって、それでいいんじゃないでしょうか。
吉本隆明 笠原芳光『思想とはなにか』 - 7ページ

 宗教学者の笠原芳光さんが、この本の中で「宗教」と「宗教性」を分けて話をされているところが強く印象に残っている。

笠原 いくら科学が発達しても人間の究極な問題は解決できないと、しかし宗教がそれを解明できるといっているのはおかしなことなので、科学も解明できないし、宗教も解明できないのです。宗教が基本になっているといわれましたが、それは私の言葉でいえば「宗教性」です。宗教と宗教性は違う。宗教性は答えではなく、まあヒントですね。科学も答えを求めているわけでしょう。完全な答えというのはないのですよ。だから科学でもわからない、宗教でもわからない。それが大事だとおもうのです。それを宗教という言葉を使いたくないから、「宗教性」とでもいわないとわからない。
吉本隆明 笠原芳光『思想とはなにか』 - 146ページ

 続けて、日本の原始的な宗教(自然=神、ほぼ神道に等しい)から、どのようにいまに存続しているのかという部分。

吉本 (略)どういう形でそれが存続していると考えるかというと、縁日の金魚すくいとか、京都のお寺巡りを観光でした時、本堂に入る前になんとなく手を合わせたり…。
笠原 なんとなくするんですよね。理由がないというのが大事なんです。
吉本 理由はないし、敬虔なこころもないんですよ。
笠原 そうそう(笑)。 吉本隆明 笠原芳光『思想とはなにか』 - 148ページ

 私は特定の宗教を信仰しているわけではないけど、だからって無宗教かというと、それもなんか違うと感じていた。
 でも、近所にある神社には思い立ったときにお参りするし、厄年であればお祓いを受ける。縁日や例大祭のことも気にかけていて、行けば息子は必ず金魚すくいをする。亡くなった親族が今年何回忌なのかを思い起こすこともあるし、お盆の時期は実家に帰省するかどうしようか、という計画を立てる。それは、特に敬虔だからというわけでもなく、なんとなく、ただ生活の中のイベントとしてある。
 そういう曖昧だけど、元をたどると複雑な、日常に溶け込んだ宗教性を私は愛好しているんだな、ということを、この本のおかげで実感した。私もまた曖昧さを孕む思想を持っている。


2024W28

2024W28 (2024-07-08 / 2024-07-14)

今週のうたかた

8日 月曜日(2024-190)

コモレの広場

 芝は青々としているけど、まだクローズド。

三日月見える。

9日 火曜日(2024-191)

10日 水曜日(2024-192)

セーフティゾーン

11日 木曜日(2024-193)

12日 金曜日(2024-194)

13日 土曜日(2024-195)

14日 日曜日(2024-196)

国立科学博物館 ディスカバリートーク「最近の天文学について」

https://www.kahaku.go.jp/event/ueno.php?date=20240714

 国立科学博物館理工学研究部所属の洞口俊博さんによる、ハッブル宇宙望遠鏡のこれまでと今について。当初は15年程度の運用を計画されていたけど、現在30年以上経って未だに現役。でも、2009年のサービスミッションを最後に、もう更新や修理の計画はなく、今のシステムが稼働できなくなったら終わりという状況。

 他にも、宇宙望遠鏡と地上の望遠鏡の違いについてとか、参加者からの質問とその回答まで、すごく面白い話が聞けた。

上野動物園

 国立科学博物館のカフェもレストランもやたらと混んでいたので(昆虫展2日目)、上野動物園へ移動してさるやまキッチンに入る。

ゾウの削蹄のタイミングに立ち会う

 動物園をあとにして、別な予定に向かう妻と息子と別れて帰宅。

京成、博物館動物園
寛永寺根本中堂

今週のエンタメ

今週の覚え書き

今週のはてな

*1:読了したのは2023年7月である。往相と還相、遠心と求心 (2023-194) - はせる

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