はせる

は・せる、馳せる

無印的女の子への無意識

snap!

 昔々、とは言っても数日前、会社の同期とミッドタウンをぶらぶらしているとき、無印良品でディスプレイされている女性を模したマネキンに目を奪われた。驚いたことに、どのマネキンの女の子も服装が100パーセント僕の好みだった。街角でこんな服装の女の子に出会ったら、同じように目を奪われているだろう。そして恋に落ちているかもしれない。

 無印的女の子、と僕は思った。
 君は今日どこへ出掛けただろう? 阿佐ヶ谷、新宿、笹塚、幡ヶ谷。もしかしたら僕と同じ場所に居たのかもしれない。
 無印的女の子。
 しかし、今日もこの雑踏の中、僕らは気がつかない間にすれ違い、君はそのまま人混みの中へと消えてしまう。
 悲しい話だと思いませんか。

(based on 村上春樹 "四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて")

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