はせる

は・せる、馳せる

梅は咲いたが (2024W05)

 そうだ、写真を撮っている自分のことも客観視することがあるんだよな……

2024W05 (2024-01-29 / 2024-02-04)

 先週の週報を書いてから「自分を客観視して、自分が嫌になる」という点について考えていた。
 文學界のオードリー若林さんと國分功一郎さんの対談の冒頭で話題に挙げられていたので最近読んだ、ワキ方を演じる能楽師・安田登さんの著書『あわいの力*1に書かれていた内容を思い出している。能を起点に、「心」が生まれたのは「文字」が生まれた後として、甲骨文字や古代メソポタミア文明楔形文字(シュメール語・アッカド語)、ギルガメッシュ叙事詩など、さまざまな事柄を行き来するけど、しかし一貫して「心」と「身体」について書かれていた。
 その中で、目・口の「みる」器官、鼻・耳の「きく」器官について、アメリカの心理学者であるロロ・メイの研究を引き合いにだしながら、下記のように触れていた。

 ロロ・メイは五感を「主体的(subjective)」と「客体的(objectivbe)」の二つに分けます。そのうち「みる」器官は「主体的(subjective)」であり、「きく」器官は「客体的(objective)」であるというのです。
 そして、主体的な行為である「みる」をされる人、すなわち「みられる」人は、その瞬間に「客体化」されてしまうのです。ロロ・メイは人間は主体的な存在であるから、客体化されたときに、そこに「恥」が生まれるともいいます。(太字は傍点の箇所)
安田登『あわいの力 「心の時代」の次を生きる』p47

 自分で自分を俯瞰してみることは、つまり、自分で自分を客体化して自らモヤモヤを生み出している、ということだと考えることができる。「あっち側」の人たちは「ドローン視点」に対する「CCDカメラ視点」があるというよりかは客観視するもうひとつの視点がそもそもないのであって、私もその視点がなければ今よりも生きやすくなるというのは当然わかる。わかっていても、その視点が取り除けないのが悩みどころなのである。
 安田登さんは能の演目やストリップなどを例に挙げ、「見られる」という客体化される状況において、あえて主体的に「見せる」ことで、相手を「見せられる」という客体的な存在にしてしまう、これが「芸能におけるメタファーの転換、逆転現象」であると説いている。

 これを俯瞰視点に当ててみることができないだろうか、と考えていた。
 実際の状況に置かれている「自分」と、ドローン視点で見ている「自分′」のふたつの自分がある。この場合、「自分」が、俯瞰する視点を持つ「自分′」に見られることによって「客体化される」という構図になるのかな。「見せる」も自分、「見せられる」も自分という「自作自演」……というか「自演自視」、そして「自分」が目を閉じたとしても虚像である「自分′」は目を閉じることはない。この状況での「主体的に見せる」とはなんなのか。こんがらがってきたので、ここで一時停止。

 「自分」も「自分′」も、どちらも同じ自分であるわけで、サードパーソン・シューティングみたいな構図じゃん、という認識を得た。自分を「見る」のではなく、自分を「操作し」ている、という転換に打開案が見出せないか。

 あと、先週分の週報から「イベントに行かない選択」についても懇々と考えていて、その矢先、愛するU-NEXTでも「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」が生配信されることを知る。思っていたよりも手軽に配信を見られることに、ちょっと動揺している。後悔が大きそうなのは見ない方であることは明らかだし、これは「見る」を選択した方がよい、という方に傾いている。
 もうひとつ。今年の課題図書としたブルデューの『ディスタンクシオン』、原著から読もうと思っていたんだけど、丸善で立ち読みしてみても文があまり入って来ず*2、値段も値段なので少し怯んだ。購入しようとしていた普及版は図書館にもあるので、まずは原著を訳された石井洋二郎さんが自ら引用しながら解説する『ブルデュー『ディスタンクシオン』講義』から入ろうと順序を修正した。
 以上。


2024W05

2024W05 (2024-01-29 / 2024-02-04)

今週のうたかた

29日 月曜日(2024-029)

30日 火曜日(2024-030)

31日 水曜日(2024-031)

2月1日 木曜日(2024-032)

2日 金曜日(2024-033)

3日 土曜日(2024-034)

公開授業

 必ず行かなくてはならないわけではないが、あると聞いたらできるだけ行きたい公開授業、いわゆる授業参観。今回はフィールドワークまとめの発表と屋上で体育。

三島神社、節分の豆まき

 「2月3日」の日付固定で行われているのでここのところあまり参加できていなかったけど、今年は週末に重なるということで久しぶりに来た。相変わらずダンボール箱や紙袋を掲げる大人がいて、なんだかなぁという感情が湧き起こる。

梅の花も咲いているよ

4日 日曜日(2024-035)

 夢の島熱帯植物館での豆まきに向かう妻と息子を見送って、自宅待機。AKIRAの原作漫画を読んでいて、映画版と内容の濃さが違うことは薄々感づいているので、U-NEXTで映画を見る。最初は流し見するつもりだったけどしっかりと引き込まれた。監督も脚本も大友克洋さん。やっぱり脚本の都合上、時間や話数に収めるために脚本・脚色などが必要となることを改めて意識する。

今週のエンタメ

今週の覚え書き

今週のはてな

*1:『あわいの力』、図書館で借りて読んだけど、この本は買って手元に置いておきたい。

*2:難解とは聞いていたんだけど、立ち読み当日のコンディションと言い訳できない感じがあり、しかも上下巻あるので年内で読み切るイメージが湧かなかった。

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