はせる

は・せる、馳せる

断片的なディストピア(2023W10)

 ディストピアは必ずしも荒廃した見た目ではなく、エヴリウェアである。

2023W10 (2023-03-06 / 2023-03-12)

 ディストピア的な世界観の映画がなんとなく好きで、気になったものは(レビューも参考にして)見ている。『リベリオン』『華氏451』『ソイレント・グリーン*1』『イーオン・フラックス』『Vフォー・ヴェンデッタ』とか。ただ、なぜ好きなのか、ということはこれまで言語化できずにいた。

 最近、図書館で借りた『文藝 2021年春季号』を読んだ。特集が「夢のディストピア」だったから手に取ったもので、「ディストピア小説の主人公とは誰か 嫌視点の作り方」と題された飛浩隆さんと高山羽根子さんの対談が掲載されている。その中で、高山羽根子さんが以下のように語っている。

ディストピアとは、最終的にはユートピアと表裏一体とはよく言われると思うのですが、そうではなくて、わたしはディストピアというのはどこに視点を置くか、という話だと思うんです。先ほど全体主義という言葉が出ましたが、たくさんの人が社会で生きていくために、ひとつの方向を向いている方が生きやすいという見方がありますよね。でも、そのときに違う方向を向いてしまった人の物語がディストピアなんです。なので、作り手の立場としては、ディストピア文学は視点の物語という意識があります。 文藝 2021年春季号
特集 夢のディストピア
対談 飛浩隆 × 高山羽根子ディストピア小説の主人公とは誰か 嫌視点の作り方」

 この対談を読んで、私自身が「ディストピア小説の主人公」的な立ち位置にいることが、たまにある気がしてきた。たぶんそういうところから、ディストピア的な視点に共感とか共鳴のような感覚を受けているのかもしれない。

 最近の関心事のひとつとして、集団(群衆)の心理について本を読んでいた。漠然とした集団に対する意識が整理されていく。私は、個人または集団として他集団から暴力や迷惑を被ることが不快であるということがまずあり、また、自分がなにかしらの集団に埋没してしまうことを恐れて抗おうと考えているようだった。身近な集団の行動や思想に違和感をおぼえて、距離をとって様子を伺っている状態。こちらの意見を、説得ではなく矯正のようなやり方で従わせようとする議論など*2は大嫌いなので。
 集団は集団の塊であり、もっと細かく見れば集団は個の集合ということになる。1つの集団と考えてしまうと、ある問題に対する絶対的に正しい解決策なんて実はなくて、集団は個の集合であると考えて、「命は大切に」とか「家族は大切に」とか、そういった根源的なことを共有しながら、お互いちょうどよい距離を保って、違う解決策を用いながら同じ目標へ向かうことが有効なような気がする。

 ああ、そうか。なんか飛躍する気もするけど、私は私が所属する集団の数を必要最小限にして、できるだけ最小単位の集団でいたいんだ。自分の手で守れる範囲の集団。それはきっと「家族」だろうね。同じ価値観の他集団とは情報を共有したり、行動を共にすることができる。なんかしっくりくる。これが言語化できたのは大きい気がする。


2023W10

2023W10 (2023-03-06 / 2023-03-12)

今週のうたかた

6日、月曜日。

7日、火曜日。

『断片的なものの社会学』的な写真

 この日の「ほぼ日 今日のダーリン」で『あんまりりっぱなことは考えてない。それがバレてもいい。』と書かれていて、メモした。

 Sessionの特集「国際社会が注目。グローバル・サウスとは何か」。「グローバル・サウス」は途上国全般のことを指し、その国々が南半球に多いことからこの呼称になったもの。確か斎藤幸平著『人新世の「資本論」』で初めて知った言葉。

8日、水曜日。

角度

 朝から東日本大震災関連の特集が多い。あさイチで、津波の写真を展示している方が「私が撮らなければ残らないという想いで撮った」と語っていて、写真の根源的なことが語られていると思った。津波が押し寄せてくるという極限の状態で、私もシャッターを切れるだろうか。

 『爆笑問題カーボーイ』、オープニングの30分がすごくよかった。ドラマ『ブラッシュアップライフ』の話から始まり、太田さんの口から語られる著作のある芸人・プロデューサー。バカリズム、佐久間宣行、劇団ひとり、オードリー若林、ハライチ岩井、ピース又吉。太田さんの芸人愛。仕事中に聞きながら涙ぐんでしまった。そして自分の本の宣伝(笑)。ゲストにイクラちゃん。久しぶりにピー音聞いた。

9日、木曜日。

 暖かくなったので、久しぶりに外で昼食。

策の池、もう咲いてる
池の水抜いていた

10日、金曜日。

この角度もいいな

 蛙亭トノサマラジオ、イワクラのフリートークで最悪すぎて笑えるタクシードライバーの話。コーナー「お前、この野郎!」を聞いて肩を揺らしながら仕事。

ディストピアというのは、必ずしも荒廃した世界観であるわけではない。

11日、土曜日。

 妻は小学校の用事があり、息子と二人で出かける。

ラヤマ・パックさんと真空成形を体験しよう!@ミッカ

micca.me

誰が描いているんだろう。いつも上手い。

 V.formerを使用した真空成形を体験。プラスチックの板を熱で溶かして、型に合わせて空気を吸引、真空状態を作り出してプラスチックの形を変える。うちわの型にアルファベットのブロックを乗せて吸引すると、ブロックの形に凹凸がつく。身近なところではねるねるねるねの器とかも、たぶん真空成形で作られたもの。

成形直後


帰り道

 そのまま上野駅へ向かい、ホワイトデーの品物とお隣さんから息子にいただいたお菓子のお返しを二人で選ぶ。

12日、日曜日。

予約図書受け取り

 単独行動で、予約図書を受け取りに図書館へ。

正面側ははしご車、金竜公園側には起震車も来ていた。

 妻と息子は、だがし会主催の「だがしの日」スタンプラリーのため動物園へ。

上野公園お花見と「だがしの日」イベント

 義父母と合同で早めの花見のため、上野公園へ向かう。

葵のご紋

 スタバでめいめい好きなものを購入してシートを広げる。

コーヒー&クリーム

 翌日が誕生日のわんこと写真を撮りたい、と息子の希望で桜の下へ。

 上野公園の不忍池側へ向かって、「だがしの日」の紙芝居を見る。紙芝居の中に駄菓子が登場し、そして実際に配られる。総合司会のマッハ文朱さん、da-gashi☆のメンバーが出てきてYMCAを踊ったり、駄菓子メーカーの社長さんたちが勢揃いだったり、なんか変なイベントだった(褒め)。

だがしで世界平和を


 夜は義父母宅にお呼ばれしてすき焼き。ドングリFMで聞いて飲みたいと思っていた「BREWDOG HAZY JANE」をここぞと引っ張り出す。IPA好きだわ。

ヘイジージェーン

今週のエンタメ

WBC 2023

www.wbc2023.jp

 初戦は中国。中国の投手が与四球が多く、とはいえ日本も適時打があんまり出なくて差が広がらず、ヒリヒリとした前半だった。中国は監督のディーン・リロイの雰囲気や采配に「老練」という言葉が思い浮かぶ。会見ではメディアのコメント悪用に対してしっかりと怒るだけでなく、ユーモアもあって好きになった。調べてみると、マイアミ・マーリンズブルペンコーチ時代に、イチローの在籍期間と少し重なっているようだ。
 2戦目、韓国。野球でもサッカーでも、韓国戦はなんとなくカロリーの高い試合だと感じてしまうんだけど、それはマスコミの煽りとかもあるのだろうか。お互い「なんとしてでも勝つ」という気持ちなのはいいんだけど。先制点を許すもその裏で逆転。
 3戦目、チェコ。再び先制点を許す。佐々木朗希デッドボール後のやりとりは、これぞスポーツマンシップ!という感じでよかった。
 4戦目、オーストラリアは欧州系の体格の良さがあるけど、オセアニアとしてアジアと同じ枠になることが多く、サッカーでも日本の前に立ちはだかる印象があった。けど、1回から大谷選手のスリーランホームランが出て、「あ、これは……」となった。

 1次ラウンドは全勝で1位通過。四球をやらたもらった印象。「史上最強」というコピーにはちょっと傲りすぎではという気がするんだけど、昨シーズンのことを考えるとこのクリーンナップのどこに穴が……?と思うし、下位打線でも得点が取れている。確かに強い。私個人、ではなく、たぶん一般的にも、ヌートバー選手の走攻守には驚かされ、栗山監督が言うように100%全員が大好きになっただろう。

今週の覚え書き

今週のはてな

*1:ゼノギアスのソイレントシステムのネタ元。

*2:特定の出来事を指したり思い浮かべながら言っているわけではないよ。念のため。

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