前を向け (2024W38)

　久しぶりにスポーツ観戦に行った週。

　イースタンリーグの巨人 vs. 楽天戦。レフトスタンド側のセンター寄りが空いていたので、最前列に席を取った。後は子どもたちで、少年野球チームなのか習い事レベルなのかはわからないけど、同じグループに所属しているらしいかった。その子らはライトスタンドで応援している友達のところに行ったり楽天側の応援席に行ったり、まあ賑やかなのはいいんだけど、移動するときに背中に当たっていく。毎回毎回一言もないので、少しずつ蓄積するものがあった。
　中盤には投手の治療で試合が中断する時間があり、後ろの子らが楽天のセンターを守る選手の名前を呼んでリアクションをもらったりしていた。「あんまりちょっかいを出しすぎるなよ」とたしなめる子も中にはいて、ちょっと見直したりする。中断が長引いて選手たちがキャッチボールをする途中で、リアクションをくれた選手が駆け寄ってきて「ボールをあげるよ」というジェスチャーをしたところ、さらに後ろの方にいたらしいユニフォームを着た子どもらがババッと来てボールを受け取って戻っていった。後ろの子らは「俺たちが声を掛けたのに」とブーたれていて、これにはちょっと同情した。
　試合終盤巨人の守備、センターがフライを落球して楽天の勝ち越しを許してしまった選手が下を向いていると、後ろの子らが「前を向けー！」と叫んだ。それまで蓄積していたものが吹き飛んで、子どもたちですらスポーツマンシップがどういうことか理解しているんだよ！、ということを考えて嬉しくなっていた。

　試合は9回裏に巨人が同点に追いつき、11回裏で巨人のサヨナラ勝ち。後ろの子らに声を掛けたり会話したりはしなかったけど、握手したいぐらいの気分だった。