「記憶の書架」に手をかける。古い写真を取り上げ、埃を払い、記憶を辿る過程で、現在に照らし合わせながら整理整頓する試み。
今回は13年前、2009年5月17日(日)の写真。場所は杉並区阿佐谷北、中杉通りの歩道橋の上。阿佐ヶ谷定点観測シリーズのひとつ。
カメラはHASSELBLAD 500C、レンズはPlanar C80mm F2.8、フィルムはFUJICOLOR PRO 400、とメモしてある。
当時は思い立ったら、早朝、昼間、夕方、夜、雨の日でも、この歩道橋の上から同じ構図になるように写真を撮り続けていた。期間としては2009年4月から2010年12月までの1年半以上、毎月とはならなかったけど、最終的に23枚の写真がある。
中杉通りの季節のサイクルが、早朝の静けさ、昼間の木漏れ日、夕方の日差し、夜の灯り、雨の水溜まり、といった日常の美しいものと一緒に写真に残る。それらに加えて道路脇に停まっている車や横断歩道を渡る人など、同じ構図だけど全く同じ写真にはならないので、どんどん増えていく写真をスライドショーにして眺めるのが楽しかった。
定点観測であるからこそ、並べてみたときに構図の中に主役というものがなく、「構成する要素すべて」を見ること、見比べることになるのかな、と考えた。今。
このシリーズがなにを切っ掛けに始まったか、詳しいことは憶えていない。ただ、デジタル一眼レフ(当時はCanon EOS Kiss Digital N)を使って同じ場所から撮った写真があり、その1ヶ月程あとに定点観測の最初の1枚目になる写真を撮っていて、これらを比較するのが楽しかった、というのが理由のような気がする。単純。あとはハッセルブラッドが同じ構図で撮れるようにセッティングすることが楽だった、というのもあるかもしれない(歩道橋の手すりに置いて、グリッドスクリーンのセンターラインと道路のセンターラインを重ねる)。
この定点観測シリーズ、ポイントは下記4つに集約できると思った。
- 同じ構図にすること
- 季節がわかる要素を入れること(本当は通行人などの人も入れたい)
- 撮影する場所で暫くじっとしていても交通の邪魔にならないこと
- 継続すること
この中でも一番大事なことは、継続して写真の枚数を積み重ねていくことだと思う。雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ、丈夫な身体*1と意欲と根気。それが当時はあったんだなあ(今も健康なんだけど)。
構成する要素は全く同じにはならないけど、今住んでいる近くで新しく始めるなら桜の木を構図に入れることができるあそこだな、と候補地は既にある。
じゃあいつ始めるの。もうちょっと先かなあ。
阿佐ヶ谷定点観測、他の写真
Flickrのアルバムを埋め込んでみる。埋め込みはカルーセルになるんだけど、Flickrのページではディゾルブのスライドショー機能があるので(右上のアイコン)、そちらの方がオススメ。