はせる

は・せる、馳せる

歩こう、歩こう(2022W44)

 歩いた距離に比例して、写真をよく撮っているような気がする。

2022W44 (2022-10-31 / 2022-11-06)

 最近あんまり撮ってないなぁと思っていたんだけど、単純に歩く距離が足りていなかったのかもしれない。ここのところチラホラ週末にフリー*1の日があるけれども、買い出しなど必要な外出を終えた後は家に引き籠もって映画やドラマを見てしまう*2。たまには外に出ることを心掛けた方がいいかもしれない。例えば、せっかく近所にあるのに利用したことがない飲食店*3、訪れたことがない名所・史跡など*4は、実はごろごろとある。他にも、最近、鶯谷駅近辺のことを生活者目線*5でポイントを絞り、文章に起こしてみるのはどうだろうか、と思っていたところでもある。そういう需要があるんだか怪しいことに目を向けてみるのも、なんかいい刺激になりそうな気がするぞ。歩こう、歩こう。

*1:妻と息子はプロ野球観戦などイベントが多い。もちろん一緒に行けるものは行く。

*2:今週は『ベイビーわるきゅーれ』と高校演劇。後述。

*3:有名店ならビクトリヤ。ハラールのお店Halal Sakuraも気になっている。

*4:子規庵や書道博物館

*5:ここが大事。ラブホしかないと思ってるだろ?

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読む時間(2022W40)

 最近なに読んだ?

2022W40 (2022-10-03 / 2022-10-09)

 あまり書くことが思いつかなかったので、今週のお題「最近おもしろかった本」について。

 亀有のミッカという図書館で手に取ったアンドレ・ケルテス『読む時間』という本。誰かがなにかを読んでいる時間を収めた写真集。

 純粋に写真が美しいので見惚れるんだけど、いろいろな人、いろいろな場所で読む姿を眺めているうちに、客観的に自分の読書体験についても考える。これまで読んだ本のこと、これから読みたい本のこと。

 巻頭の谷川俊太郎さんの書き下ろしの詩『読むこと』の、下記の一文が好き。

そして自分とはまったく違う考えが
いつの間にか自分の考えとハグしているのに気づきます

 読むことで、自分の考えが影響されたり変わったりすることが好きだし、言葉にならなかったものを言葉にするヒントが得られることが嬉しい。それによってまた悩んでしまうこともあるだろうけれど、それを受け入れることができる状態でありたい、と思う。

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阿佐ヶ谷住宅の31と30

 「記憶の書架」に手をかける。古い写真を取り上げ、埃を払い、記憶を辿る過程で、現在に照らし合わせながら整理整頓する試み。
 今回は13年前、2009年6月7日(日)の写真。場所は杉並区成田東にあった阿佐ヶ谷住宅

31&30

 カメラはCanon EOS Kiss Digital N、レンズはEF 28mm f/1.8 USM、とメモしてある。

写真のこと

 Canon EOS Kiss Digital N(以降、キスデジN)の時代。私のカメラ遍歴は、コンデジを除くとキスデジNから始まる。2006年末に標準ズームレンズキットで購入して、1年経たないうちに今も使用しているEF 50mm F1.4 USM、次にEF 28mm F1.8 USMの順で揃えていった。
 この写真を見て、今ならもうちょっと違う構図を考えて撮るかな、と思ったりする(笑。当時は真四角の写真ばっかり撮っていたので仕方ない。という言い訳。

 これはほぼ余談だと思うんだけど、この写真、EXIF情報を見るとF値を3.2で撮っている*1。メカニカルな機構を持つレンズだと、F値の最大解放が2.8とすれば、1段ずつ絞っていくと3.5、5.6、8、11、16、22と変化していく。その段階に慣れてしまうとデジタル一眼レフでもこの設定値を使うようになるので、その上でこの値を見ると「3.2ってどうよ?」と思ってしまう。ずっと自覚していたけど、この感覚を文章にするのはたぶん初めてのこと。個人の感想です。

記憶を辿る、考察と補填

 阿佐ヶ谷住宅Wikipedia)とは日本住宅公団が整備した中層集合住宅とテラスハウスからなる団地、だった。『日本の不思議な建物101』という本を読んだことが切っ掛けで、なんかいろいろと思い出した。

 阿佐ヶ谷に住んでいて、且つ写真を趣味としている。だからといってすぐに阿佐ヶ谷住宅に行くかというと、まあ実際そうでもなく、写真を趣味と認識してから暫く経ってのことだった。写真友達など当時仲良くしていた人と一緒に散歩したり、ちょっとしたピクニックみたいなことをしたり*2、自転車を購入してからはこの写真の広場で休憩することもあった。写真を撮る人たちにはちょっと名の知れた場所ではあったけど、純粋に落ち着く場所であり、不思議な吸引力を感じる場所だった。

Untitled

 南阿佐ヶ谷駅方面から向かうと、古めかしい外観の給水塔が迎えてくれていた。この給水塔も阿佐ヶ谷住宅もすでになくなっていて、今はすべて取り壊されて再開発され、中低層マンションとテラスハウス群になっているようだ。

booklog.jp

*1:同じ日の写真を見ると、微妙な値はこの写真だけなので、ダイアルに間違って触れてしまった可能性が高い。

*2:友達に阿佐ヶ谷住宅の住人は一人もいないので、いけないことである。

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夢と幻想の森

 「記憶の書架」に手をかける。古い写真を取り上げ、埃を払い、記憶を辿る過程で、現在に照らし合わせながら整理整頓する試み。
 今回は9年前、2013年5月26日(日)の写真。場所は北区西ケ原にある旧古河庭園"forest of dreams"シリーズのひとつ。

forest of dreams (36)

 カメラはHASSELBLAD 500C、レンズはPlanar C80mm F2.8、フィルムはFUJICOLOR PRO 400、とメモしてある。

写真のこと

 撮った写真をザッと振り返ってみると、花や木、木漏れ日など自然を写した写真がそこそこあり、中でも構図上「鬱蒼とした森」のような(そう見える)写真を多く撮っていることに気がついた。葉擦れの音を聞いたり、それに伴って踊る木漏れ日に包まれることが好きだったからだと思う。
 それと、写真を趣味として認識していく中で、村上春樹の小説、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や『海辺のカフカ』などを読んで、物語に登場する森(と、それが孕む孤独)に魅了されたことも、大きな影響になったのは間違いない。

 Flickrでそれらをアルバムにまとめてみると、なんだか安らぎを感じて、そこからなんとなく始まったシリーズだったと思う。
 あと、FUJICOLOR PRO 400は特性として緑色が鮮やかえに出るフィルムだったので、そのことも強みとして働いたんだなあ、と改めて考えた。

 日差しに透ける葉っぱなどは今でも撮ったりしているので、このシリーズも折を見て再開するのもいいと思った。

記憶を辿る、考察と補填

 場所は旧古河庭園Wikipedia)の馬車道。このとき確か隣には妻がいて、入籍から2ヶ月ぐらいの頃。たぶんこのときもバラフェスティバルの開催中で、バラアイスを食べたり、バラ柄の手鏡を買ったり(今も使ってくれている)、よく行っていたことを思い出す。なんとなく行かなくなってしまい、もう4年ぐらい経ってしまった。

 旧古河庭園都立庭園のひとつ。今、春のバラフェスティバルが3年振りに開催されている真っ最中であり、バラの名所なんだけど、ここではあえて庭園の魅力も知っていただきたい。旧古河邸と同じ上段には西洋庭園が広がり、中段はバラ園、下段には日本庭園と心字池がある。庭園に高低差が付けられていて、上段からバラ園と日本庭園を見下ろしたり、下段からジョサイア・コンドルが設計した西洋館を見上げるなど、それぞれお気に入りのビューポイントがきっと見つかるはず(バラフェスの時期には、ライトアップされることもある)。

www.tokyo-park.or.jp

 あと、元々の土地所有者であり、この地で亡くなった陸奥宗光Wikipedia)は、台東区根岸に居宅が現存し、今も一般住宅として使用されている。これもなにかの縁。

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阿佐ヶ谷定点観測

 「記憶の書架」に手をかける。古い写真を取り上げ、埃を払い、記憶を辿る過程で、現在に照らし合わせながら整理整頓する試み。
 今回は13年前、2009年5月17日(日)の写真。場所は杉並区阿佐谷北、中杉通りの歩道橋の上。阿佐ヶ谷定点観測シリーズのひとつ。

阿佐ヶ谷定点観測 2009/05/17 15:30

 カメラはHASSELBLAD 500C、レンズはPlanar C80mm F2.8、フィルムはFUJICOLOR PRO 400、とメモしてある。

 当時は思い立ったら、早朝、昼間、夕方、夜、雨の日でも、この歩道橋の上から同じ構図になるように写真を撮り続けていた。期間としては2009年4月から2010年12月までの1年半以上、毎月とはならなかったけど、最終的に23枚の写真がある。
 中杉通りの季節のサイクルが、早朝の静けさ、昼間の木漏れ日、夕方の日差し、夜の灯り、雨の水溜まり、といった日常の美しいものと一緒に写真に残る。それらに加えて道路脇に停まっている車や横断歩道を渡る人など、同じ構図だけど全く同じ写真にはならないので、どんどん増えていく写真をスライドショーにして眺めるのが楽しかった。
 定点観測であるからこそ、並べてみたときに構図の中に主役というものがなく、「構成する要素すべて」を見ること、見比べることになるのかな、と考えた。今。

 このシリーズがなにを切っ掛けに始まったか、詳しいことは憶えていない。ただ、デジタル一眼レフ(当時はCanon EOS Kiss Digital N)を使って同じ場所から撮った写真があり、その1ヶ月程あとに定点観測の最初の1枚目になる写真を撮っていて、これらを比較するのが楽しかった、というのが理由のような気がする。単純。あとはハッセルブラッドが同じ構図で撮れるようにセッティングすることが楽だった、というのもあるかもしれない(歩道橋の手すりに置いて、グリッドスクリーンのセンターラインと道路のセンターラインを重ねる)。

 この定点観測シリーズ、ポイントは下記4つに集約できると思った。

  • 同じ構図にすること
  • 季節がわかる要素を入れること(本当は通行人などの人も入れたい)
  • 撮影する場所で暫くじっとしていても交通の邪魔にならないこと
  • 継続すること

 この中でも一番大事なことは、継続して写真の枚数を積み重ねていくことだと思う。雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ、丈夫な身体*1と意欲と根気。それが当時はあったんだなあ(今も健康なんだけど)。

 構成する要素は全く同じにはならないけど、今住んでいる近くで新しく始めるなら桜の木を構図に入れることができるあそこだな、と候補地は既にある。
 じゃあいつ始めるの。もうちょっと先かなあ。

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