都市と写真と記憶と感傷。
立ち寄った御茶ノ水から、秋葉原駅まで歩こうと、聖橋(ひじりばし)を通った。通勤経路なので聖橋の存在を忘れたことはなかったけれど、橋を通るのはかなり久しぶりのことのように感じて、ふと立ち止まり、風景に見入った。中央線快速、中央・総武各駅停車、丸ノ内線。三つの路線が交差する風景は、これまでに何度もシャッターを切ってきた場所だ*1。三路線の電車が同時に重なる瞬間を狙って、10〜15分ほど待ってみたけれど、この日は上手くいかなかった。それでも、目的の写真が撮れなくても、こうして写真のために贅沢に時間を使うこと、その行為そのものに、私は小さな幸福を感じていた。
記憶と風景は、いつもどこかで繋がっている。なかでも都市風景のほうが、その結びつきは濃いように思う。
そんなことを考えながらカメラを構えていると、私と御茶ノ水の記憶がふいに蘇ってくるのを感じた。御茶ノ水は以前の職場の最寄り駅で、駿河台の坂道、ニコライ堂、堀内カラー、神保町の本屋街も遠くないことなどを思い出す。いい思い出も、そうでないものもたくさんある。聖橋からの風景を眺めるときには、映画『珈琲時光』のワンシーンとともに、この映画を紹介してくれた人のことも思い出す。
ふと立ち止まったその場所が、記憶の底にしまわれていた情景と、静かに重なり始める。その中に、たしかにあの頃の私がいた。
都市風景は「私」だけのものではない。街の写真は、ただ風景の記録としてではなく、そこにいた「私」や「誰か」の記憶をも写し込んでいる。都市とは、無数の記憶が折り重なる場所なのだろう。知らない誰かの記憶も、私が写し撮った都市風景の中にそっと紛れ込んでいる。個人的な意図で作られたアート作品が誰かの心を打つように、私が写し撮った都市風景も「そこにいたあなた」の記憶を呼び起こすこともあるかもしれない。名前も知らない誰かの記憶が、ふとした拍子に自分の記憶と交差している。都市とは、そういう「誰かの残像」が創り上げているのかもしれない。
よく歩くような道でも、いつもと違うことがある。ずっとあると思っていたものでも、いつかなくなることがある*2。そんなとき、私は感傷的になる。写真は、変わりゆく都市のなかに、かつてそこにあった風景と、そこにいた「私」や「あなた」の気配を、そっと残してくれている。私は、そういう写真が好きだ。
2025W25
2025W25 (2025-06-16 / 2025-06-22)
今週のうたかた
16日 月曜日(2025-167)
17日 火曜日(2025-168)
18日 水曜日(2025-169)
19日 木曜日(2025-170)
20日 金曜日(2025-171)
晴れ。
21日 土曜日(2025-172)
公開授業
国語、中休み、算数。積極的に手を挙げるタイプではなく、授業中の「回答見せ合いっこ」のようなタイミングでは息子の席に来てくれる子はおらず、息子自身も積極的に他の子のところにいくということもない。でも、三者面談の内容を妻から聞くに、先生やクラスメイトからの信頼はあるみたい。単に「回答の見せ合い」に恥ずかしさや苦手意識みたいなものを感じている……のか? だったら私もよくわかる。
家族用PC購入へ
義母が妻と息子が使用するPCを買ってくれるとのことなので、必要スペックを満たすPCを選ぶために同行。ヨドバシ秋葉原へ。ざっとまわって、日本HPの半年ちょっと前のPCを購入。ブラウザとOffice系のアプリケーションが使えれば十分なので、メモリは16GBで妥協。
22日 日曜日(2025-173)
自宅待機、YouTubeなどを見ながら、長く撮っておいてある紙の束から雑紙を分類。夕方、帰ってきた妻と息子と合流して、買い出し。夕食、お風呂、お皿を洗って、早めの就寝。
今週の覚え書き
今週のはてな
- 今週のはてなブログランキング〔2025年6月第2週〕 - 週刊はてなブログ
- 前代未聞の挑戦を成功させた戦略とは - はてなが集英社と振り返る「少年ジャンプ+」の10年【前編】 - Hatena Developer Blog
- 1,000万人が熱狂するマンガ雑誌を目指して - はてなが集英社と振り返る「少年ジャンプ+」の10年【後編】 - Hatena Developer Blog
- 今週のはてなブックマーク数ランキング(2025年6月第3週) - はてなブックマーク開発ブログ
- はてなブックマーク透明性レポート(2024年11月~2025年2月) - はてなブックマーク開発ブログ
- マルチテナントアプリにおけるデザインコンポーネントの管理方法 - Hatena Developer Blog