はせる

は・せる、馳せる

妄想フォトグラファー

teruteru

...ん。こんにちは。ちょっと一枚撮らせてもらっても良いかな?

「カシャン!」

あ、驚かせちゃったかな。こういうカメラなんだよ、これは。
緊張しないで。うん。うん。良い感じ。そのままで...
—息を吸い込んで、止める。
—言葉以外のなにかが僕と対象の間に通じ合った瞬間にシャッターを切る。

「バショッ!」

うん。ありがとう。良いものが撮れたと思う。
それじゃあ、また会えたら、また。(see you when I see you.)

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 妄想だっつの。でも、少なからずそういうスタンスで写真を撮っているのは確か。

 デジタルから銀塩に移行した人間として、一番最初に不安だったのは「ちゃんと撮れているか」ということ。プレビューがあるデジタル一眼は、それを見ながら納得が行くまで撮ることが出来る。けれども銀塩カメラはそんなものなんてないからその場での確認が出来ない。だから最初のうちは二台体制で外出していたっけな。
 今ではほとんど銀塩カメラ一台。それは僕が銀塩で且つフルマニュアルのカメラに慣れたということもあるのだろうけど、写真に対するスタンスが最初のあたりと微妙に変わったんじゃないかなぁとも思っている。

 「まあ仕方ないか」
 露出や構図や手ぶれなど、上手く撮れていなかったときにそう思えるようになったこと。それが大きいのかも。
 「絶対に上手く撮りたい」とか「しっかりと残して置きたい」というような場面では、そのときに使えるあらゆる手段を使う。三脚代わりにしてカメラを固定できるものを探す。ブラケット撮影をする。そうやって撮影した写真は、撮った対象以外にもなんとなく自分の想いが写り込んでいるように感じる大切な一枚になる。
 だから、僕がそこまでしなかった写真に対しては「まあ仕方ないか」と思えるようになったんだろうね。決して一枚を軽んじているわけではないんだけれども。

 ...でも、何気なく撮った写真だったり、ブレちゃった写真だったり、そんな一枚もそれはそれで気に入ってしまうことがあったりして、写真っておもしろいなぁと改めて感じる今日この頃。

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