はせる

は・せる、馳せる

心象風景の車窓から

 仕事で中野に所用があり中央線の西側へ行ったときのこと、中野駅で降車して目的地へ向かう最中も、僕自身の意識は中央線の車内に置き忘れたまま高円寺、阿佐ヶ谷へと向かっていた。

keep on movin'

 阿佐ヶ谷に住んでいた8年間、通勤や遊びに出かけるときに車窓から民家の屋根が並ぶ風景を何度も眺めていた。 目を閉じれば今でも、その風景を思い起こすのは容易いことだ。
 中央線の中野より西では、民家の屋根より少しだけ高い位置をガタンゴトンと電車が移動する。青空が澄んでいたり、夕焼けがとても綺麗だったり、雨が降っていたり。そのときはなんとなく眺めていた景色でも、あとになって思い出すと少し胸を締め付けることがある。

 忘れているようでなにかを切っ掛けにして完全に思い出される(そしてほとんどの場合美化されている)風景は、きっと誰の胸の内にもある。あなたの場合はどこでしょうか。

THEATRE 2

たとえば過ぎていく景色に思いを馳せる

流れる景色

 車窓からの風景を撮った写真を集めてみると、如何にも心象風景らしい写真ばかりだった。

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